「放浪息子」を読んで改めて志村貴子の鬼才っぷりを感じる #マンガ
天才かよ。
先日「青い花」を読みまして、「ああ、この人天才だな。」と思ったばかりでしたが「放浪息子」でもふつふつと伝わってきます。
青い花は百合ものですが、放浪息子はジェンダーもの。所謂「男の娘」的なところから入っていくわけですが、高槻くんのこともあるので、性格には「ジェンダー」がメインです。
長い話ですが基本的には成長していく中で心の成長、身体の成長の過程におけるアイデンティティとジェンダーで揺れ動く主人公たちのお話。普通に取り扱ったらタブーっぽいことも志村貴子の手にかかればサラッとなってしまいます。
サラッとフワッと、軽やかに、でも決して内容が軽薄なわけじゃない。みんな悩んでみんなそれぞれの答えを出していきます。まあ「青い花」でもそのへんは変わらないでしたね。
キャラの作り方というか立ち方が絶妙で、それぞれにそれぞれの背景があって、でもいやらしくない匂わせ方というか。個人的にはあだち充っぽさを感じます。あだち充もちょいちょい人を作品中に殺して話を締めるというか、そういうところありますからね。
志村貴子はそれを青年誌仕様でやってのけてます。セリフのないコマというかそのへんの見せ方とか間のとり方がとても上手いです。なのでサクッと読めちゃいます。ただし読後感が軽すぎることは無いです。
うまいこと言えませんがめちゃくちゃ美味いマカロンみたいな。
あ、「娘の家出」もそんな感じで難しいけど割りと現実ありそうなドロっとした話をサクッと描いてますね。
とにかく、志村貴子は天才だと思った今日このごろでした。